後出しだから何とでも言えてしまうけど、実は新型 MacPro の価格、自分の予想「2,999ドル〜」がずばり的中。日本でも30万円前後だと予想していたら、「318,800円〜」と発表。ウェブ上では40万円だの50万円だのという憶測が飛び交っていたけど、それはないなと思っていました。
ソフトウェアで稼ぐのが幅をきかせ始めている現状、営利企業という前提から考えれば、それじゃあまりにも乱暴だし自ら市場規模を縮小させてしまうからです。あまりにも高価だと、お金に余裕がある個人か減価償却できる企業くらいしか購入しなくなってしまう。アップル自身がソフトウェアの収益性を落としたくないでしょうし、サードパーティーも、利用者が減ればそれだけ市場が小さくなったソフト・ハードの供給を手控えることにもなるのです。Mac が市場占有率2%前後だった頃の負の連鎖です。せっかくIntel Mac で、手ごろな価格で高性能な Mac を産み出し、より多くの利用者を獲得したのに、それをあえて打ち消してしまうのではおかしな話しですから。
新型 Mac Pro の価格を見て着目するのは、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアでもより儲けようというアップルの姿勢。プロもセミプロも趣味の個人も価格を抑えた同じハードウェアでそろえさせ、みんな同じ土俵に乗せて、そこに大幅に値下げしたプロツールを用意し、「安くて高性能・高機能。さぁ、どんどん買って使ってください」とう流れ。これが進むと、だれでもプロフェッショナルが利用していた道具に手が届き、ぱっとみ大差ないものができあがるのです。そして、できあがったものを見る人(市場)の大半は素人です。細部にまでこだわるプロの仕事に、いったいどれだけの人が気付くのでしょうか。こうなると、プロと素人の差別化が難しくなってきます。そこを「うちはこれで勝負だ!」っていえる何かで補うのか、アフターケアなどを始めとした包括的な営業で補うのか。
そういう点では、映像制作なんてまだまだ戦える世界だと思います。カメラが記録するデータが全てだからです。どんなに調理器具が発達し安く手に入るようになっても、食材がまずかったら煮ても焼いても食えませんからね。